私が知る限り、あらゆる契約書は読みにくいものであり、作成者に有利な(都合の良い)文章になっているものです。
建築業界の各種法規制、業界規制は各社共通、参考にする判例も同じとなれば、おそらく桧家さんと他のハウスメーカー、似たり寄ったりの契約文面なのだと思います。
つまり、スタートから不利な状況で、その不利を享受するしかない面があります。そんな中ですが、ほんの僅かでも対策を打つことは出来ます。
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工事請負契約書は、桧家さんが「ノーリスク・ハイリターンで仕事を進めます」宣言に近かった
施主は、「ハウスメーカーを選ぶ」という決断をし、先方にその旨伝えたら、工事請負契約書の準備に入ります。桧家さんは、約2週間後でした。
この契約をすることで、現実的には後戻りが出来なくなります。(当たり前ですが)
主な心構えは、下記の3点でした。
①契約以降、ローン本審査に落ちた以外の理由で解除したいなら、請負金額の15%を払う。(2,000万の家なら300万!3,000万の家なら450万!)
②建築期間中、資材が地震・雷・水害などで破損した場合、全額を施主が払う。(桧家は保険に入らない。施主は保険に入れない。)
③契約して以降、値引きはしない。(全て、桧家が定める割高の定価で提供する。)
他にも、「資材発注後なら、その資材相当額と諸経費等は全部支払う」というのもありますが、これはさすがに妥当なので心構えとは思いませんでした。
(金額査定は桧家が行うのなら、仕入値ではなく売値で計算するでしょうから、とんでもない金額にはなりそうです。が、さすがにこの段階で解除は、施主が非常識だろうと感じます。)
契約さえすれば、その後は割高(定価)で売る環境が整う
契約の2週間前まで、複数のハウスメーカーを選定していた訳なので、桧家だけに絞って、細部のオプションまでは決めきれていませんでした。
そして、土地物件が出てから間取りのスタートなので、契約日までに検討する時間は多くありません。
私の場合、契約時点では、間取りもラフな(建売の初期案みたいな)状態です。サイズ(桧家用語:パレット)を確定した程度です。(確定したつもりが、後でサイズも変えた)
営業さんは言います。「後から、オプションなどはいくらでも修正できますので。」
そりゃそうです。
一旦、少な目な構成で総額を出し、総額に見合う値引きを確定させたいのでしょう。
(桧家さんはライバル社より総額が高く、値引き額も最も高かった。)
契約以降に追加オプションを引出したほうが、桧家さんは儲かります。(高い利益率で売ることができます)
こちらも契約時点では、「もうこれ以上オプションは追加しない」という意思も持ってはいますが、その後に新しい事実を知ると、考えも変わっていくものです。
・・と、まだまだ先の事は流動的という状況の中ですが、契約はしなければいけません。
それは、土地購入の契約に、タイムリミットが定められている為です。
一方的な契約内容を前に、選べる選択肢は既に無かった
土地の購入を決める際、ハウスメーカーは未定の状態でOKです。
まずは目の前、土地の値引き交渉などに専念し、ローンの事前審査を経て、土地契約へと進んでいきます。
土地の契約書には、特約の条文があります。
住宅建築を含めた総額のローンで本審査が通らなかったら、白紙に戻せるというものです。
その期限は、私の場合、土地契約日から約1ヶ月半後だった気がします。
既に頭の中では桧家さんを含めて小数のハウスメーカーに絞り込んでいたので、後は細部の比較と価格交渉かなと思い、このまま土地を契約しました。
後述しますが、一度「狙っていた土地が売れてしまった」という経験をしたので、今回の土地が他に買われてしまうリスクに、少し背中を押されています。
土地契約後、紆余曲折はあったものの、最終的には桧屋さんにお願いすることにしました。
最安ではなかったものの、Z空調や営業さんの人柄、が決め手です。
この時点で、土地の特約期限まで、残り3週間ほどであったかと思います。
「桧家さんにお願いします」
そうお伝えしてから、桧家さんの契約書準備に約2週間を要したので、桧家さんとの契約日というものは、土地の特約期限があと約1週間に迫っている日です。
この後、ローンの本審査(ハウスメーカーとの契約書を添付する必要がある)に数日かかることを踏まえたら、もう後戻りという選択肢はありません。
こういった背景の中で、契約書の中身を始めて読むことになります。
契約日当日、用意された契約書の全てを営業さんが読み上げ、私は真剣に聞き入ります。
冒頭で書いた主な心構え3点をはじめ、ちょっと桧家さんに有利過ぎないかと思うところが、少なからずありました。
桧家さん、ノーリスク・ハイリターンです。
条文に納得できないところがあっても、営業さんは本社に逆らえないらしく、契約書の修正など論外です。
では、「だったら他メーカーをもう少し検討する!!他社の契約書も確認してきたい!」だなんて私は言えません。前述の通り、既に遅すぎるのです。
今日契約するか、ローンの本審査を待たずに、土地の特約期限を過ぎてしまう(ローン落ちたら、自分で土地代を準備するか、数百万の違約金を払うか)か。
後者を選べる訳がない。
他にも、契約に向けて下準備をしてくれた桧家さんとの関係を悪化させながら保留し、一度お断りしたハウスメーカーにもう一度声をかける。他社と折り合いがつく可能性も極めて低い。
そんな選択も出来る訳がない。
結果、契約書に納得が出来なくとも、信じて捺印するしかありません。
土地の特約期限に余裕があれば、一旦保留して後日という選択肢もなくはないし、何よりオプション構成などじっくり打合せすることが出来ます。
私の場合、土地を探し、ハウスメーカーを比較している段階で、契約書の雛形でも貰えばよかったのか、とも思いました。
しかし、あの疲れた時期に、契約書なんて眠くなる資料を何社分も熟読し、比較する、そんな余力は無かったと思います。
まぁ、そういうものなのでしょう。
(結果、主にオプション絡みでトラブルは発生し、私は泣き寝入りを強いられることになります)
☆惚れた土地を逃す経験をしました
駅から徒歩5分、やや広め、お値段も妥当、但し交通量の多い道路や汚い川から20Mほど、という土地がありました。
今の家の防音性能を考えたらマイナス面も許容可能考え、総合的に私は惚れてしまいました。
この土地をベースに複数社のプランを頂き、慎重に検討を重ねます。
あるハウスメーカーから、「土地の申込みだけでもしませんか」と言われても、素人の私としては得体が知れず、それがハウスメーカーの手口なんじゃないかなと思い、申込みは保留していました。
とにかく、建物のサイズ、オプション構成をほぼ固め、値引き額を出来るだけ多く引出し、競って欲しいとの気持ちでいました。
日々、各社の標準設備や比較ポイント、想定するオプションなどを検討し、そろそろ比較項目に目途が立ってきたかなというとき、なんとネットの不動産検索から惚れた土地が無くなってしまいました。(値引きされないかなと、毎日チェックしていました。)
ネット掲載期限が切れただけだと信じたかったものの、ハウスメーカーさんの調べでは、売れたようです、と。
後日、そこには建売の物件が建つことになります。この経験をしたものだから、次に「ここだ!」と決めた土地では、納得できる価格まで落とせるという情報を得たとき、申込みを急ぎました。
そして、前述の通り矢継ぎ早に、土地契約、ハウスメーカー選定、建物契約、と進んでいく事になります。ハウスメーカーの立場になって考えると、施主がフラフラしている分だけコスト増となり、また失注リスクも高まり、引いては成約した人への販売価格に転嫁していくこととなります。これはお互いに本意ではない。
それは一理あるのですが、施主の理解・整理が追い付かない中で次から次へと物事が決まり、戻れない、不安、といったものが引きずられていく。ハウスメーカーの土俵だからこそ、ハウスメーカーの営業利益率は他業界に比べて高い。
これから家を建てる方へ、僭越ながらアドバイスです。
1.土地契約の住宅ローン本審査期限は、可能な限り長く設定する
(契約前なら、十分に交渉余地がある。契約後は当然ながら、不可能。)
2.展示場を回っている間、注文住宅の流れ、各社の標準設備、オプションを真剣に学ぶ・整理する
3.今後の値引きや単価について、契約前に合意の証拠を残す
(私は証拠残したけど、例外ですとか、後だしジャンケンをされる経験もしましたが)
このサイトの経験談、比較表などがお役に立てれば幸いです。